呼吸している、えらい(気分変調症日記)

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小説『図書館の魔女』をめっちゃアニメで観たいという話。

どうも。
やらなくちゃならないことからひたすら目を背けてガンダム(ちょうど10周年のやつ)鑑賞に勤しんでおります、船着場です。
狙い撃たれたい。毛布掛けてもらいたい。
近況報告はこんなところです。


閑話休題

さて、私は小説や漫画を、「これはアニメで観たいな」「これは実写で観たいな」と考えながら読んでしまう質です。
役者さん知識はほとんどありませんで、キャストは知る範囲で一応考えてはみますが、「誰に演じてほしい」という思考以前に、読み進めていくうちに大体なんとなく「これはアニメ」「これは実写」と勝手にイメージが湧いています。

最近読んだもので言うと、
イブニングで連載中の『累』は断然実写で観たい。(コミックですが)
夜は短し歩けよ乙女』は、先日アニメになりましたが、私は読んだときは実写で観たいなと。『宵山万華鏡』も実写で観たい。
遠藤周作の『真昼の悪魔』は、昔実写ドラマやっていたそうですが、私の勝手な読後感は「この狂気はアニメで観たい」。
読んだのはだいぶ前ですが、今本棚を眺めて見つけた辻村深月の『オーダーメイド殺人クラブ』はどっちも観たいけど、どっちかっていうとアニメかなあという感じ。
完全に主観です。しかも曖昧な。


そして。
今現在読み進めている小説で、読めば読むほど「これ映像で観たい!アニメーションで観たい!」という気持ちが強くなっていくのが、講談社ノベルズから出ている『図書館の魔女』(高田大介著)です。

魔女はでてきません。魔法使いもでてきません。魔導書は出てきますが、偽物です。

こちらシリーズもので、現在文庫本では『図書館の魔女』第一巻~四巻、『図書館の魔女 烏の伝事』上下巻が刊行されています。
私自身まだ三巻の途中までしか読んでいないこと、また、軽い情報がネタバレにつながる作品であり、ネタバレは避けた方が楽しめる度がアップする作品であることを考慮して、私からのへたくそなあらすじ説明は避けます。第45回メフィスト賞受賞作であり、公式サイトがありますので、あらすじ等はこちらを御覧ください。
kodanshabunko.com
以降こちらを読んでいること前提で話を進めます。

(ネタバレは避けますが、ネタバレによって面白さがほぼ消し飛ぶような脆い作品ではないことは断言します)

なぜ私がこの作品を映像で、そしてアニメで観たいと思ったのか。ここからはそれをつらつら書いていきたいと思います。

登場人物たちの手話が映像で観たい

真っ先に思ったのはこれでした。
声を持たないマツリカやイラムは、作中で、声を持つものより雄弁に語ります。
文章で表現されているだけでも、さぞかし「表情豊かな手」なんだろうなと思わせるマツリカの手話に始まり、だんだんとそれに応じていくようになるキリヒトの手話、うるさいけれど優しさに溢れたイラムの手話、これらを是非映像で観たい。そして、作中では文字の羅列として読者に示される手話の内容を、その手の動きとともに音で聞いて同時に理解したい。もちろん字幕という手もありますが、私は映像化するなら声をつけてほしいなと個人的に思います。私は彼女らの手話からキリヒト達のように細かな感情までは読み取れないので、やっぱり音で聞きたいです。
マツリカ様は怒るかもしれませんが。

登場人物の設定がアニメ映えしそう

この物語には多種多様な人種の人物が登場します。その筆頭が司書の二人。
ハルカゼはアルビノで銀髪ロングの長身。
キリンは濃い褐色の肌の持ち主で黒髪に真っ黒な瞳。
対照的な二人ですが、ハルカゼは情報戦のプロ、キリンは軍事戦略のプロとして描かれています。

主人公コンビのキリヒトとマツリカは、お互い方向性は違いますが、年齢とその能力のギャップが周りの大人に奇妙な不安感を植え付ける、そんな少年少女。

物凄く運動神経が良いという設定のキリヒトの洗練された身のこなしがアニメで観たい。
下にも同じようなことを書きますが、私は脳内で立体的に人の体の動きを映像化するのが苦手なので、文章で書かれた彼の手足の動きがどうしてもきちんと想像できない。けれど、むちゃくちゃスマートでかっこいいのはわかります。一か所どうしても観たいキリヒト大活躍シーンがあるのですが、大きいネタバレを含んでいるので言えない…くぅ。
あのシーンアニメにしたらむちゃくちゃ動くんだろうな…とだけ。

そしてなんといってもマツリカ様。
図書館のトップに君臨し、膨大な量の知識を有し、そしてそれらを繋げ、組み立て、繙いていく能力に異様に長け、「図書館の魔女」と恐れられる人物。
しかし実は、背の低い、色白の、まだ幼い美少女で、態度は高慢で高飛車。すぐに人を馬鹿にしたように意地悪を言う。基本的に行儀が悪く、椅子に座って本を読みながら、床につかない足の靴下をその辺に脱ぎ捨てる。すぐに葡萄酒をちびちび舐める。
そしてその手は実に表情豊かに、誰より「言葉」に精通しながら、声を発することの叶わない彼女の言葉を紡ぐ。
こんなにアニメーションで観たい少女はいません。

基本的には素直で訥々と話し、知識もそんなにない為マツリカにやられっぱなしのキリヒトですが、身体能力を試される場面では二人の立場が逆転します。そういう話ではないのは百も承知で言いますが、萌えます。

キリヒトはマツリカの手話通訳になるため図書館にやってきたのですが、主従とも、相棒とも言えるような言えないような、この二人のこの先の関係性は如何に…
ちなみに三巻現在では切なさと危うさと心強さとって感じです。

山々の風景や城外の風景、建物同士の位置関係を絵で見たい

これに関しては完全に私の馬鹿さを露呈する話なのですが。
この小説、特に一巻は、私は読むのにかなり時間を要しました。
というのも、内容が基本「外交」のお話なので、地形、機構、街や建物の構造等々を文章で説明している部分がすごく多いんです。
これをきちんと脳内で整理出来たらもっとお話が面白いはずなので、何度も読んで考えるのですが、脳内で地図を組み立てられない人間にはしんどいものがあります。
これをビジュアル化してもらえたら…という他力本願な考えからもアニメ化希望です。


最後に。
「アニメ化してほしい」という視点でここまで『図書館の魔女』について語ってきましたが、このお話のなにより魅力的なところは、「練りに練られた世界」「練りに練られた展開」だと思います。作者によって構築された世界に隙がないのです。
一応ジャンルはファンタジーなのだと思いますが、世界の仕組みや物語の展開に関して、「いやここはこういう世界だから」という言い訳は一切ありません。
言語学、地理学、地質学、歴史学その他諸々の現実世界の学問の知識を著者はどれだけ持っているのか空恐ろしくなるレベルです。

少し悪い言い方をすると、この世界、ストーリーに関して、読者に想像して創造する余地はあまりありません。読者が尽力せねばならないのは、いかにここにつづられた文章が示すものを正確に解せるか、です。

読者の妄想に任せがちな登場人物の容姿も、この小説では克明に記されています。その余地があるのはそれこそ彼らの声くらい…といいたいところですが、声を持つ人物の声の特徴も、抽象的ではなく具体的に記されているのです。
それが吉と出るか凶と出るかは読み手次第。

しかし、凶と出てしまった人に、このお話自体の面白さが伝わらないのはもったいなさすぎます。話の壮大さ、伏線の緻密さ、個々のキャラクター(結構多い)の生き生きっぷりは、海外作家のファンタジー作品に引けをとりません。

そして、こういう原作の世界がきっちり決まっている作品は、アニメ化と相性が良いと思うのです。
現実のものや人間でこの世界をなぞると却って不自然になる気がします。リアルを突き詰めた虚構を現実世界で表現しようとすると違和感が生じる。矛盾ですね。
ともかく、いろんな人種が出てくる時点で、日本人だけで実写化はしてほしくないです。

どっちみち、映像作品になれば、凶と出てしまった人、そもそも読書が苦手な人にもこの作品の面白さが伝わるのではないか!と思うと、心の底からアニメ化を願ってしまいます。
賞をとった作品ですし、もしかしたらもうそういう話は出ているのかも知れません。


以上、長々とお付き合い頂きありがとうございました。
これから00劇場版を鑑賞します。


図書館の魔女 第一巻 (講談社文庫)

図書館の魔女 第一巻 (講談社文庫)


余談。昔ジャンプSQでやってた遠藤達哉の『TISTA』がすごい好きでめちゃくちゃアニメ化してほしいんですが叶わぬ夢ですかね…

TISTA 1 (ジャンプコミックス)

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