呼吸している、えらい(気分変調症日記)

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複雑骨折もしくは高熱

めでたく転職先が決まって、
ハロワの担当さんに何度も頭を下げて、
「やっぱりハルさんは決まるの早かったわねえ」なんて言われて、
転職先の方ともスムーズにやり取りをして、
心配した父親が出勤前日から泊りに来てくれていて、
前日の夜は薬をきちんと飲んで22時前には布団に入って、
当日の朝は家を出る1時間半前には起床して、
予定より早く家を出て、
電車では座れて、
仕事先の皆さんに挨拶をして、
明日は今日よりスムーズに仕事が出来るようにたくさんメモを取って、
それで、
それで、
全部ちゃんと出来てたはずだった。

私はまた社会人として復活をして、社会から許された存在になって、有給が支給されたらそれでまた国内のちょっとニッチな場所に旅行に行くはずだった。
初出勤を楽しみにすらしていた。
何も出来ず家で膝を抱える毎日よりマシになると思っていた。

だめだった。

初出勤を終えた私は、めまいを覚えながら会社を出て、電車に乗って、家に近づくにしたがってどんどんぶっ壊れていった。
電車の中で両親に
「許されるなら泣いて喚いてふとんをかぶって行きたくないと叫びたい」
とLINEをした。

そして本当にその通りにしてしまった。
メンタルが爆発四散した。

私には仕事が務まらないと思った。
仕事をして責任を負うのが怖かった。
今日と同じ疲労感と緊張感を毎日味わう苦痛に耐えられないと思った。
これを毎日繰り返すなら生きていたくない。
人生苦しいばかりでどうしようもない。
消えたい。死にたい。

そうとしか考えられなくなって、心配してきた母親と真っ暗な部屋の中で泣きながら電話をした。
母と電話しても精神が上向きになることはなかった。
母は「もうやめてしまってもいいんじゃないか」と言った。

母と話しているうちに父が帰ってきた。

父は、私の不安がどうしたら解消されるのか、どう仕事に向き合えばいいか、ゆっくりゆっくり話して励ましてくれた。
それでも私の精神は落ちてゆく一方だった。

その晩も、次の日仕事に行くつもりで早めに布団に入ったけれど、ほとんどまともに眠ることができなかった。
うとうとしては目が覚め、目が覚めるために頭の中にその日教わった取引先会社の名前が浮かんで身体中が緊張した。

眠れなかった、という事実が、私の「会社に行けない」という思いをより強くした。

父親は、私を無理に会社に向かわせようとはしなかった。
むしろ母と同じように「行かなくていい」という方向で、先方にどう連絡するかを一緒に考えてくれた。

私は震えながら転職先に「本採用を辞退させてくれ」と連絡をし、わざわざ朝一の会議を欠席してくれた父を見送った。


ここまで書いていて改めて思う。
私はどうして出勤初日あんなに落ちてしまったのか、自分でもわからない。
けれど、病のせいだとするならば、こうなるまで自分の病状をこじらせてしまったということはやっっっと理解した。
こんなブログを書いていて今更だけれど、私はここまでなのか、と重く重く感じた。

そして私は今まで、
・実家になるべく頼りたくない
・自立した生活を継続させたい
・この年になって親に甘えたくない
とひたすらに思い続けてきた。

結果、一人暮らしを続ける中で
・過度な食費制限
・過度な娯楽制限
・孤独感
と無理やり向き合い続けていた。

実は、父親や母親、ひいてはハロワの担当さんからも、「まだ休むべきなのではないか、転職を決めるのは早すぎるのではないか」と言われていた。それを私は頑なに聞かずにいた。

結果が今回の初日退職事件なのである。

父と、今回のことの顛末を報告したハロワの担当さんから全く同じことを言われて、そうだったのか、と腑に落ちた言葉がある。
「骨折したまま走ってるんだもん、だめだよ」
「風邪ひいたまま走ってるみたいだった、それじゃいつまでも熱は下がらないよ」

私は骨の折れた足を引きずって、風邪をひいて鼻水を垂らして、周りが「休め」と言ってくれているにもかかわらず、「頼れない、頼れない」と、この三か月間ずっとおぼれ続けていたようだった。

時間軸は前後するけれど、私は ・仕事に行けなくなった日の夜 ・次の日 ・その次の日(実家に一時帰宅)と、メンタルがどん底まで落ちた。
どれくらい落ちたかと言うと、「死に向かいたい」という衝動が抑えられなくなり、自分の手で首を絞めてみたり、電気スタンドのコードで首を絞めてみたりして精神を落ち着けるという始末。
実家におらず一人だったら、実行していたかもしれない、と思う。


自分がずっとおぼれ続けていた、という自覚を得た私は、もうおとなしく、実家に帰ることを決めた。
一回全部白紙に戻して、いろいろやり直そうと思う。
今は、完全に生活の拠点を実家に戻して、体調と相談しながら引っ越し作業を進めている。
実家に帰って自分の顔を改めて鏡できちんと眺めて、その土気色なのにびっくりした。


まだ毎日、絶望感・不安感・恐怖感と戦っている。
別にこのブログで、「メンタルやばい人は早めに実家に帰りましょう」とか「無理しないようにしよう」とかそういうことを言いたいわけじゃない。
このブログはあくまで私は7割方自分のために記録をつけている、というスタンスだ。

ただ、頼れる人がいて、頼って良いと言ってくれているのなら、頼るべきだ。
これはやっぱり自分に向けて言っている。

1、2か月前の自分に言葉が届くのなら。
「休職をして、仕事に行かなくなっても、意地を張って、理想に拘って一人暮らしを続けている限り、お前は全く休めない。早く周りの「休め」という言葉に素直に耳を傾けろ」

おわり